同棲時代(5)の意味について

同棲時代(5)

次郎に内緒で子どもを堕胎した今日子。
心がぼろぼろになった今日子は自殺未遂を図り、そのショックで精神に異常をきたしてしまった。
次郎と今日子を包み込む絶望。
愛をすべての理由として生きてきた結果、二人はいまその愛によって罰せられようとしていた――。
ある日、病院を訪ねたら今日子の姿が消えていた。
義父が次郎に内緒で今日子を信州の病院に転院させたのだ。
屈辱と、口惜しさと、喜びと、安堵と、複雑な感情が胸をかけめぐる次郎。
そして今日子のいない生活に漂う、心の芯から冷えていくような孤独。
今、二人の愛は引き離された――。
信州の人里離れた病院で、異常に包まれた生活を送る今日子。
意識は正常を取り戻してきたが、大量に投与された薬品は胃を蝕み、病院での生活は限界に来ていた。
今日子からの手紙を受け取った次郎は、彼女を取り戻すために信州の病院へ向かう。
再び、二人のあの生活が始まるのだろうか…。
再びアパートで同棲を始めた二人。
しかし、日々の生活は愛からその意味を抜き取っていくだけだった。
結婚というものを通り越して、時間を過ごしすぎてしまった二人。
不幸を分け合い、そしてその不幸はまたひとつになる。
愛すること、それは愛の意味をますます深く見失うことなのか。
体調がすぐれず病院へ行った今日子は、医師から残酷な診断結果を告げられる。
前の堕胎が原因で起きた、不妊症…。
子どもなんかいらない、ただ一緒にいたいから暮らしてきただけなのに。
しかし、目の前の現実は二人の心に重くのしかかってくる。
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